№1402 結着をつけておきたい未払い残業問題
さらに,新人の場合,仕事に慣れるために遅くまで職場に残ることがあるが,これもサービス残業になってしまう。経営者としては,仕事に就くための準備行為のようにとらえて,これを残業ととらえていないことも少なくない。しかし,仕事のために時間を拘束している以上,残業となってしまう。
未払い残業の場合,未払い分の支払い義務が発生する上,職員が退職している場合14.6%の遅延損害金がつく,さらに付加金が加算される例もある。未払い残業に対しては労働審判や裁判などが提起されるとかなり簡単に負けてしまう。一人当たり100万円から200万円を支払うことも珍しくない。IT関係などで給料が高いと500万円とか1000万円とか工学になる場合がある。
職場の雰囲気に与える悪影響も無視できない。「うちの社員は働くことが好きだから」「家じゃやることないから働かせてくれと言われている」という言葉を聞くことがあるが,果たして従業員の立場からはどうだろうか。勝手なことを言っていると思われていないだろうか。
厚労省は労働時間管理に関する通達(平成13年4月 6日付け)「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する通達」を出している。それによれば,「労働時間数の適正は把握は使用者の責務」とされている。使用者はタイムカード,ICカードなどにより労働時間数を把握管理する必要がある。
「うちは残業は月30時間と制限している。それ以上働かせない。」と言っても,これが未払い残業の温床になる例もある。残業手当として支払っていたとしても,それ以上働いていれば未払い残業代として支払い義務が発生する。注意を要するのはこの残業手当も単に「手当」としか明細に示さず,従業員に周知していない場合は残業手当とはみなされない場合がある。
こういうことを,大企業のこと,うちは違うなどと思うかは社長がどれだけ会社を大きくしたいかに関わる話だろう。どこかで,未払い残業問題には結着をつけておいてはどうだろうか。