新コロナウィルス対応でテレワークが急速に進んでいる。1日7時間、8時間と自宅で働くのだが、一人の人間が連続して2時間、3時間も働けない。適度な休憩は必要となる。しかし、そうなると経営側は従業員がきちんと働いているかどうか心配になってしまう。テレワークの時間管理は経営者にとって悩ましい課題だ。勤怠ソフトなどを利用しているかもしれないが、結局は本人の倫理に依存せざる得ない。
厚生労働省「テレワークではじめる働き方改革―テレワークの導入・運用ガイドブック」
→ http://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/14.pdf
テレワーク導入のための労務管理等Q&A 集
→ http://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/13.pdf
名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら
→ http://www.green-justice.com/business/index.htm
未払い残業などの問題が生じると、労働者の労働時間はしばしばコンピュータログで立証されていく。シフト表などを基準に、最終メールの送信時刻、ログオン、ログオフログ時刻、シャットダウンログなどPCに残っていた記録から実際の労働時間を考えていくことになる。こうした発想は労基署でも同じで、労基署が操業状態を調査する際にはよくコンピュータ記録を出すように求める。
東京高裁の判決(判時2434号、77頁)は、こうしたログに対する評価が地裁と大きく分かれた事例だ。
ログオンの時刻は本人のアカウントを利用して立ち上げている場合には、立ち上げ時刻が始業時間であると判断された。一方で、ログオフの時間は複数の者がPCを利用している可能性があるということで、これが終業時刻とは限らないと判断した。つまり、PCのログから、始業、終業の時刻を推定するという場合、複数の者が関与する可能性がある場合には、労働時間を正確に反映していないと判断したのである。
未払い残業については、当然支払い義務があるが、労働者側は「残業した」という事実を立証しなければならない。このハードルは労働者側にはけっこうハードルは高い。
こうしたログが手に入るような事件はまれで、おそらく証拠保全と言って、裁判所の決定をもらっていきなり会社への調査に入るようなことがあったのではないかと思われる。