№1251 クレーマーへの対応
執拗にくいさがる顧客に対する対応は小売業にとって非常にやっかいな問題だ。
お客との信頼関係を大切にする以上、一定程度は我慢して対応しなければならない。その一定程度が難しい。
つまり、できないことはできないと明確に言ってのけるラインをどこに置くか、やることには限度があるとはっきりと「居直る」のをどうするか。こうした問題を日頃から決めておくことは有益なことだと思う。
弁護士の仕事には謝り屋のようなところがある。
相手に法律上の正当性がある場合、相手は自分に正当性があると信じて怒って当然であるという姿勢で対応してくる。商品に欠陥がある場合、会社が倒産して代金を支払えない場合、いろいろある。このような場合に、一定程度謝罪するが、言っても分からない時には強い態度に出ていく。
「世間から言えば謝って当たり前だ」
「十分謝っています。」
「では、顛末を文章にしろ。」
「そんなことはできません。」
「それじゃ泣き寝入りさせるのか。俺たちにみんな損害を押しつけるのか」
というような会話は普通にある。
私達も相手に正当性がある場合には誠意を持って対応するが、相手が人間性を越えた対応に出てくる場合には断固たる態度で臨み、「弁護士だからと言って偉そうに言うな。」と言われたりして、時には激しい怒りを買ったりする。
結局最後にはできないことをできない、お引き取りくださいという言葉をどこで言うかと言う事になるだろう。「それが客に対する態度か。」とか、「泣き寝入りさせて、死ねって言うのと同じだ。」とか、いろいろ言ってくるが、やむえない。できないことはできないし、そのまま泣き寝入りしてもらう外はない。
そして、それでも食い下がる場合には最後には「裁判でもなんでも決着してください。」と伝えることになるだろう。
普通の会社では中々、「裁判でもなんでもしてください。」とは言えない。私達が顧問先から受ける相談にはこうした、どのタイミングで「居直るか」、法的対応、弁護士マターの問題として処理するかというようなところが相談の対象となる。