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№1213 会社の相続問題

№1212 会社の相続問題
 社長が死亡した時には相続問題が発生する。法定相続分と言って、民法は厳格に相続分を定めている。いっしょに住んでいるか、いっしょに働いているか関係なく民法は相続分に従って分配することを求めている。

 妻、子供2人、ということであれば妻は2分の1、子供は4分の1ずつということになる。一緒に働いている長男に株式の全てを相続させることになった場合、株価が高いと長男は株式しか受け取れないこともある。

 さらに株価が高いと長男にはもらいすぎが発生して、他の兄弟に対して、代償金という金銭を渡さなければならなくなる。中小企業の場合、株の流通性はないから、株を売ってお金を作る訳にもいかない。長男は借金して代償金を支払うことになる。

 また、常識的なことだが相続には相続税対策が必要だ。多くの税理士はその当たりは心得ている。株価を安くして譲渡に際しての節税を考慮することになる。企業の場合、実際の相続問題は税務問題が全てであると言っても過言ではない。一定規模以上企業が大きくなると相続問題専門のコンサルを付けて数年計画で事業承継の計画作りをしたりする。

 つまり、相続では次の様な思考順序をとる。

① 法定相続分などを考慮して、相続全体の枠組がどうなるか考慮する。

② 一定年限をかけて計画だって相続を進めていく。この場合は税務問題が最も重要だ。

③ 代償金といい、税金といい、いろいろ現金が入り用になってくる。保険なども活用して現金を用意しておく。

 こんな例もあるから注意を有する。
 不動産など資産を個人、借金は会社という場合、社長が無くなった時には個人資産という相続財産に莫大な相続税がかかる。会社の借金があって社長個人の不動産には抵当権がついているが、社長はこれは連帯保証人でしかないため、相続財産から会社の借金が差し引かれることはない。