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№1151 社長の突然死

№1151 社長の突然死
 長く弁護士をやっていると社長が突然死するケースに対応しなければならないことがある。

 中小企業の場合、社長=企業のようなところがあるから社長が突然死すると大混乱をきたす。誰かが社長をやらなければならないが、子供がまだ若かったりすると中々決まらない。
 
 中小企業の場合、一番の問題点は借金だ。今でも社長をするからには常に連帯保証を求められる。身内だって借金が億を超えると震えてしまう。まして、従業員が社長になるには相当な勇気がいる。

 跡取りがいないような会社の社長が突然死した場合には従業員の誰かに社長にやってもらい、社長の遺族には会社のオーナーとして配当を期待するか、何らかの形で株式の譲渡を認め、退職金のようにして一時金を渡すかするのが理想だろう。

 結局、このような場合、会社の所有と経営の分離を図ることになる。つまり、会社が個人の手を離れ、自律的に運営し、自律的に組織拡大を図っていくしくみを作ることになる。それが、株式譲渡であれ、オーナー支配であれ、同じ事だ。

 おおまかな注意点はこんなところか。

経理の透明化】
   中小企業の場合、会社経理が適当であることが多い。有能な会計担当者を雇い入れ、経営実態が分かるような仕組みを作る必要がある。特に会社が部門に分かれている場合には部門会計の確立は不可欠だ。

【営業方針の明確化】
   新しい社長は会社の理念、事業戦略、事業方針などきちんとさせる必要がある。会社の顧客層は何か? 会社の強みは何か? 会社のライバルはいるか? 市場の動向をどのように見ているか? いくつか重要な要素が存在するがそれを明確化する。

   所有と経営が分離するため、どうしても会社に目が行き届かない。コンプライアンスの徹底を図る必要がある。社内規則のルール化はもとより、取締役会、株主総会など法令で決められた会議は必ずきちんと行われるようにしなければならない。

【人事の把握】
   会社は人の集団だ。比較的年長のリーダー級の人たちの周りに比較的若い次の世代が存在する。さらに若い世代がいろいろある。リーダー級の人たち、その次ぐらいまでは把握しておく必要がある。

【銀行対応】 
   経営の透明化とともに、銀行対応を明確にする必要がある。銀行には経理、営業方針を明らかにし、事業の将来の展望を示しておく必要がある。また、連帯保証については解消の方向で整理する事になるだろう。