名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

ちょっとだけ ビジネス戦略「逆選択」 adverse selection

ちょっとだけ ビジネス戦略「逆選択」 adverse selection

 「今日から即使える 『最強ビジネス戦略51』」(朝日新聞出版社)を毎日1つ読み始めた。「要点だけ」と銘打ち,2ページで1論点,寝る前の3分,1論点はあっという間に読める。できるだけ紹介したい。要点のさらに要点だから,いいかげんかな。

 望ましい属性の持つ者が市場から去り、逆に望まざる属性を持つ者が市場に残る状態を言う。

 つまり、当事者間の情報量に大きな差がある場合、選ぶ側は何らかの選別基準を設けて選択していくことになる。この選別基準があだになって、かえって欲しいものが逃げていく現象が逆選択ということになる。

 例えば、お客さんを集めたいと思って、安売りをすると安い者しか買わない人ばかりが集まって、本当に買って欲しい人が選ばれなくなるとか。

 リストラして従業員を解雇しようとしたら、能力ある者は退職して、解雇したい者は逆に残ってしまうとか。

 本来選びたくない者を選択するはめになって、本来欲しいものが手に入らない状態が逆選択ということらしい。

 これはとても意味深で、選択のジレンマをよく分析して、逆選択にならないよう、時間をかけて、がまんをしながら選択していかないと、へんなものばかり選択してしまうことになって、身動きがとれなくなる。


逆選択事例】
 例えば労働市場においては、企業はどのような能力の持ち主が求人に応募してくるかわからない。そのため、有能な人材に対する賃金とそうでない人材に対する賃金の平均をとった額の賃金を提示して募集を行う場合が少なくない。すると、有能な人材は自分の能力に見合わない賃金だと考えて応募を敬遠し、逆に、有能でない人材は自分の能力に対して高給だと考えて募集に殺到する。その結果、できるだけコストを抑えて有能な人材を採用したいという企業側の意図に反して、有能でない人材ばかりが集まってしまうことになる。

 いま、ある中古車の売り手と買い手を考える。買い手は、中古車情報誌などから、買いたい中古車の価値はジャンク(20万円)から掘り出し物(100万円)までの間に一様に分布していることだけを知っている。一方で、売り手は本当の中古車の価値を知っているとする。この時、まず、買い手が自身にとっての価値の平均値である60万円を提示したとする。すると、もしこの中古車の本当の価値が60万円より高ければ、そのことを知っている売り手は取引をしないであろう。取引に応じるのは、本当の価値が60万円以下の時だけである。そうなると、買い手は相手が取引に応じるならば、中古車の価値は60万円以下であるということを知ることになるので、買い手にとって中古車の価値は20万円から60万円の間に分布することになる。そこで、買い手は新たな価値の平均値である40万円を提示しなおすとする。すると上記と同様の流れにより、買い手が取引に応じるのは本当の価値が40万円以下の時だけであろう。以下同様に繰り返していくと、最終的には中古車の価値が20万円というジャンクの場合にしか取引は成立しないこととなる。その結果、中古車市場での取引は閑散としたものとなり唯一取引されるものはジャンクのみ、となってしまうのである。
 → ウィキ