№968 中小企業における株主総会の役割
ある会社ではおそらく企業連携やM&Aに関する意見の対立から代表取締役を解任した。解任には株主総会の決議が必要だ。そこで、オーナーは臨時株主総会を開催して社長を解任した。解任された元社長が会社を相手に株主総会不存在確認の裁判を提起した。
判決は株主総会決議が不存在であるとして、社長解任を否定した(東京地裁H23.1.26、判タ1361号218頁)。この会社の定款では株主総会の議長は代表取締役が行うことになっていた。しかし、代表取締役が議事進行していなかったため、総会は不存在だというのだ。
零細企業の場合はそれでも通用するがそこそこの企業の場合は株主総会はきちんとしておいた方がよい。少なくとも、新たに1億円投資できるような規模の企業は必要だろう。
それは、規模が徐々に大きくなり、所有と経営の分離が始まるからだ。企業連携、経営統合、事業譲渡などのM&A、相続、事業承継さらには役員退職金など所有と経営が分離する機会は増えてくる。そんな時に日頃から会社法のルールをきちんとしておかなければ手ひどい目にあう。
このブログでも株主総会や取締役会、組織の機関が法に則さず、がいいかげんなために大変な問題を引き起こした事例をいくつか紹介した。