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№1200 キツネの幻燈会

№1200 キツネの幻燈会
 宮沢賢治の雪わたり、四郎とかん子はキツネの幻燈会に誘われて楽しい時間を過ごします。賢治の童話にはいつもいろいろな動物が出てきて仲良く暮らします。時には岩手山も出てきて、農民たちは岩手山に挨拶をしながら働きます。

 宮沢賢治でなくとも私達は古来をより自然とつきあう作法を身につけてきました。それは時には神様が宿る木だったり、けっして近づいてはいけない森だったりしました。オオカミやクマ、動物たちが神様になっているのもめずらしくありません。

 考えてみれば、人間は長い年月を経て、進化して人間となりました。進化の中で生き残る生物は、けっして強いからではなく、他の生物や自然と調和できたから生き残り、自らを進化させることができました。人間はそもそも自然と調和して生まれた生物の一つです。

 そして、人間は自然の中で生き、狩猟し、農耕を営み、文化を発展させてきました。世界のどのような文明も自然と無関係にあった試しはありません。豊かな文化は自然とともにあったはずです。

 だから、人間は本来的に自然と調和しなければならない存在だといえるかと思います。自然生態系の大きな家の中に人は常に存在し、同じ家の全ての仲間たちと対等に過ごし、自然の恵みを過度に貪らず、浪費せず、生きていくというのが本来の人間が自然に対して持つべき倫理ということになるのでしょう。

 キツネの幻燈会に誘われた四郎やかん子を私たちはうらやましく思います。自然の動物たちと仲良く暮らす世界は私達は豊かだと感じます。私達は自然に対する倫理を取り戻すことで、豊かな生活も取り戻すことができるのではないかと思います。