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№1159 銀行とのトラブル

№1159 銀行とのトラブル
 中小企業に取って銀行は生命線であることが多い。
 融資の実行によって、まとまったお金が通帳に入ってくるのだが、そんなときはどれほどほっとするか分からない。逆に、融資が得られないとか、銀行に嫌われるとかいった事情は事業者にとって大きな恐怖となる。

 でも、よく考えてみよう。銀行は常にあなたの味方ではない。銀行には銀行のルールがあって、どんな場合でも非情に銀行の利益を守る。あなたと銀行との関係は常に良好でなければならないが、常に交渉するべき相手でもある。中小企業の場合、あまりにも銀行に依存したり、銀行は専門家で雲の上の人たちなどという意識があったりして、中々、銀行に対して「交渉」という感覚になれない。でも、これはまちがっている。銀行にとって、あなたはお客様なのだ。

 ともかく、銀行とトラブルがある場合、弱い立場の事業者としては中々裁判までもちこめない。それに銀行は官僚的な所だから、そう簡単に妥協しない。そういう意味では「全国銀行協会」はよい解決の場かも知れない。


 この銀行協会には、「相談室」がある。その相談室には「あっせん委員会」というものが設けられている。あっせん委員会は裁判とは違った紛争解決機関(ADR)だ。例えば、銀行から為替ディリバティブなどリスクの説明なしに金融商品を買わされてしまって大変な損をしているような場合、銀行にも責任がある場合がある。こうした場合にも使える。

 あるいは、銀行に迂回融資を頼まれて、圧力に屈して応じたような場合に使えるかも知れない。迂回融資というのは真実は別の事業者が借り主だが名義を貸してしまったような場合だ。本来、迂回融資は許されない。

 銀行協会は銀行実務の専門知識を有する点で話が通じやすい。また、裁判のように切った張ったといった鋭い対決にはならないのでその分やりやすい。銀行が定めたルールなので銀行との信頼関係もそれほど損ねないのではないかと思う。