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№1131 優越的地位の濫用課徴金事例

№1131 優越的地位の濫用課徴金事例

独占禁止法課徴金制度
 優越的地位の濫用は独占禁止法で禁じられている(2条9項6号)。違反すると課徴金が課せられることがある(20条の6)。違反行為の対象となる相手との不正行為期間中(最長3年)の売上の1%となる。売上の1%なのでかなり高額だ。

優越的地位の濫用とは
 優越的地位とは「取引の継続が困難になることが事業経営上の大きな支障をきたすため、」不利益な要請を受けざる得ないような場合をさす。これまで、課徴金が認められた事例で有名な事例は次の通りだ(判タ№1279号66頁)。

  山陽マルナカはスーパーなどを経営しているが、納入業者に対して「不利益な要請」を繰り返していた。山陽マルナカの場合は典型的な優越的地位の濫用だ。山陽マルナカは22億5000万円の支払を命じられた。

① 新装開店、全面改装などに際して、納入業者に対して、商品の陳列、移動、補充、接客などの作業を無償でさせていた。
② 山陽マルナカが主催するイベントに対して金銭を負担させていた。
③ 取扱商品について、自社独自の見切り基準を設けて、その期限を過ぎると返品をしていた。
④ 商品の入れ替えを理由として割賦販売おこなう商品につき、仕入価格の50%を納入代金から差し引いていた。
⑤ クリスマスケーキなどについて、出入業者に購入数を割当て購入させていた。

 日本トイザらスは優越的地位濫用を理由に3億7000万円の支払が命じられた。

① 売上不振商品について返品条件も返品を受け入れる申し出もないにもかかわらず返品を認めさせていた。
② 売上げ不振商品を割引き料金で売った場合に、割引額を納入代金から減じていた。

3. エディオン事件
  エディオンは優越的地位濫用により40億5000万円の支払が命じられた。
  エディオンは店舗内の搬出、搬入または店作りを特定納入業者に無償で手伝わさせていた。その数、延べ1万1172人である。

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