№1102 組織が学習する(organizational learning)
私はかねがね組織が組織を生み出すようにしたいと思っている。一人に人間が組織を作りあげるのではなく、組織が自ら組織を作りあげていくのだ。組織が新人を迎え入れ、組織が学習プログラムを持ち、組織の一員となっていく。組織の活動に欠陥があれば、組織的にそれに気づき、修復の努力をしていく。そうした自律的組織が組織が組織を作るという考えだ。
経営学の分野では組織学習(organizational learning)という言葉あって、学習する組織とも呼んでいるようだ。
その代表的な考え方にダブルループ学習というものがある。これは組織内の学習を2つのループで説明するものだという。
例えば、「改善」という運動はシングルループと位置づける。組織に与えられた目標に達成しない場合、どこが問題かを検討してまた改善する。こうした改善の積み重ねによって組織の質は向上していく。
ダブルループというのはさらに高次のレベルでの改善ということになろうか。シングルループでの改善をしていても限界がある。その時に、そもそも何のためにそのような事業活動が行われているのかを根本的に問い、生産ラインのあり方そのものを変えてしまうというレベルでの改善だ。
これはサーモスタットに例えられる。
サーモスタットが28度に設定されている場合、低い温度の時はつながり、高い温度の御時は遮断され、一定温度を維持する。これはシングルループ思考だ。
ダブルループではそもそもなぜ28度かを問う。
どこまで温度調節は可能か。そもそも必要なものなのか。こういった根本的な問いを行い改善していく場面をダブルループというらしい。
組織が自らを反省する。組織が自らの目標を設定して邁進していく。人の入れ替わりにもかかわらず知識や技術は蓄積され、組織のアイデンティティは保たれる。こうしたテーマが「学習する組織」の考え方だ。