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№1101 うつ病と労働契約

№1101 うつ病と労働契約
 労使関係は労働契約という契約関係にある。本来の原則から言えば、経営者は賃金を支払い、労働者は労務を提供する。労務を提供するというのを経営者から見ると労働者に対して一定時間の間、指揮命令権を有し、就労させることができる権利を有するということになる。

 そこで、うつ病問題を考えるときに、契約上期待される労務の内容、雇用契約の内容はそもそも何であったかが改めて問い直されることになる。

1. 採用時
  採用時に職種や業務内容、職場などが限定されているかどうか。
  社員がうつ病にかかった時に職場の配置換えが問題なる。その時に採用時の条件が考慮されることになる。特に限定がなければ異動はやりやすくなる。しかし、一方で、異動などを通じて、少しでも負担を減らす義務をするべきであったという方向に判断されてしまうことになる。

2. 就業規則など
  雇用契約のような組織にかかわる契約では就業規則によって労基法のような強行規定に反することがなければ雇用契約の内容を決めることができる。うつ病対策では就業規則は大きな役割を持つ。配置変えや降格、休職、復職、休職などにともなう賃金の減額など決めておかなければならないルールはいくつかある。

  例えば、復職ではこんな就業規則が必要と言われている。
  ① 休職規定
  ② 休職後の自動退職規定
  ③ 休職期間の通算規定
  ④ 復職後の配置換えの場合の賃金減額規定


3. 個別の合意
  採用時、あるいは就業規則等によって雇用契約の内容が決められていたとしても個別の合意によってさらに修正はあり得る。この場合、従業員が真の意味で合意したかは問題になるが、本人が納得すればそれに応じた処遇は可能となる。