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№866 社長の役目、上司と部下の権関係

№866 社長の役目、上司と部下の権関係

 「GEライティング事業部のマネジメント憲章に、アメリカ合衆国憲法になぞらえてこう書かれている。『高位のマネージャーの権限として文書に明確に定められた内容以外は、全て下位のマネージャーに委ねられる』。」(「マネジメントⅢ」日経BP、102頁)マネージャーの役割は部下を統制するのではな。部下が自由に活動できるよう配慮、調整するというものというのがドラッカーの考え方だ。


 ドラッカーはその著書でマネージャーの権限について触れている。マネージャーという言葉はそのまま社長という言葉に置き換えてもよい。
  
  ドラッカーは「マネージャーの仕事の範囲と権限は、できるだけ大きくするべきだ。」というテーマから始めている。彼はそれを、「判断の権限をできるかぎり下層に委譲して、中身が実行される場に最も近いところで判断すべきだ。」と言い換える。この当たりの発想の転換がいかにもドラッカーだ。

 この下から考えるという発想は合理的だ。マネジメント成功の基準は唯一成果にある。その成果をあげるのは顧客に商品やサービスを提供する第一線の成果によって決まる。従って、上位者のマネジメントとは「最前線のマネージャーの職務を助けることを狙いとする」ことになる。常に、成果を生み出す第一線に「全ての職務が依存している」。

 ところで、この上位、下位のマネージャーの「権限」はどのような関係なのだろうか。ドラッカーは権限の限界を明示して、残りは自由に判断させる手法を推奨する。決められたことだけをやるというのではなく、決められたこと以外は判断せよと言う考え方だ。

 そして、権限とは必ずしも上意下達の関係ではない。むしろ、双方向であるという。
 下位のマネージャーは「上司が成果をあげ、目標を達成するためには、自分とそのチームは何をどのようになすべきか」をじっくり考え、上司は部下たちに「自分に何が求められているか」を考えさせなければならない。

 上司は「部下たちのために、彼らが必要とするツール、人材、情報を入手する責任がある。助言をし、相談に乗り、必要に応じてよりよい仕事の仕方を教えなくてはいけない。このような下との関係を一言で言い表そうとするなら、『力添え』が最も近いだろう。」