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№641 債務処理の目標

№641 債務処理の目標
 中小企業にとって債務処理の目標は何だろうか。

 実はそれは企業の目的はなんだろうかと言う問いによく似ている。企業は活動するために存続する。活動できるのは顧客に支持されるからであって、社会にとって有用だからに他ならない。利益は目標ではなく存続のための指標に過ぎない。
 
 少なくない企業が多くの債務をかかえ、時にはいつ返せるともない根雪のような長期債務が存在する。それでも企業は存続する必要がある。それは社会に支持されているし、組織に所属する多くの社員がいるからだ。
 
 こうした企業の本来のあり方を考えるとき、債務処理だって目標は明確だ。企業の持続を目標に掲げ債務戦略を組み立て行くことになる。
 
 ① 第一は経理の正確な把握だ。自らの経理を正確に把握することは企業維持の第一歩だ。
 
 ② 第二は財務評価の改善である。それが、帳簿操作にしか見えないとしたら大きな間違いだ。評価の向上を帳簿操作の裏技としかみない経営者は経営の自らの実態を理解していない。実態の改善無くして会計の改善はないというところが重要だ。
 
 ③ 第三は将来的な経営計画だ。大方針を立てた後に自らの経営を部門ごと、商品ごと、あるいは地域ごとに分析し、方針の正しさを検証していく作業が必要だ。その上で3年から5年の中長期事業計画を作っていく。この時に事業計画の前進を示すための指標を作ることになる。
 
 さて、企業の目的は持続して活動し社会貢献することにある。この考えを債務整理に当てはめれば、将来的には信用格付けをランクアップする、できたら借金のない企業に作り上げるということになろう。そのため、今の決断をする。それは、債務がどんなに大きくとも将来返済し、徐々に信用格付けを引き上げ、堅実で持続的な企業に作り上げるという作業でもある。