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№642 長期債務に苦しむあなたへ

№642 長期債務に苦しむあなたへ
 長期貸付金がたまって一体この会社は何のために事業を続けているのだろうと思うことはないでしょうか。事業存続のために銀行との細かな交渉を繰り返していくということもあるかと思います。こうした苦労は経営者でないと分かるものではありません。
 
 長期貸付金も長く続いていれば、それはもう銀行のあなたの会社に対する投資と同じです。株式会社は広く公衆から投資を募って事業を起こします。経営者は株主に対して利益を還元しなければなりません。長期貸付金は返済期もあり、利息もありますが、長く続けばそれは銀行があなたの会社に投資しているのと変わらなくなります。
 
 銀行はあなたの会社の将来性を信頼し、会社をつぶすことはできないと考えます。
 そこで、あなたの会社がなぜ存在しているかを見直してはどうでしょうか。製造や流通、小売りのどの分野においても社会はあなたの会社を必要としているのであなたの会社は存在しています。返済するだけの利益を上げているのはそれだけの価値があなたの活動にあるという意味になります。
 
 あなたと銀行担当者との関係は良好であるべきであることは言うまでもありません。単純な発想ではありますが、企業の存続に向けて社会、経済的な貢献を果たすという共通の目標を果たしていく関係ととらえることもできます。会社の現状を見つめて、事業展開の可能性を銀行に示して協議していく関係として銀行との交渉を進めるという考えは、現実離れしたおめでたい考えでしょうか。
 
 ある会社では、多額の長期債務にもかかわらず、事業存続や返済について担当者と協議し、他銀行との交渉方法についても作戦を作っています。ある会社では銀行担当者から自らの格付けを聞き出し、格付けの維持や向上に向けての改善点を協議しています。楽しいとまでは言いませんが、自らの会社の魅力を明らかにして投資家を引きつけていく作業に似ています。
 
 銀行はいつも点数をつけようとしている嫌なところかもしれません。しかし、うまくやれば、専門情報や営業について意見を述べてくれる投資家であり、あなたから逃げることができない、つきあいのよい投資家と見ることもできると思うのです。