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№640 酒池肉林

№640 酒池肉林
 最近、少しずつ「史記」を読んでいる。寝る前に読んでいるのでちょっと読むとすぐ寝てしまう。おかげで中々進まない。
 国の栄枯盛衰のもとは王のおごりから始まる。司馬遷の思想は明確だ。王というのは国のマネジメントする者で,社長にも通じる。民の声を聞くというのは会社維持にとっても不可欠だ。
 
■ 殷の紂王(ちゅうおう)
  殷は初代湯王(とうおう)が築き上げた国家だ。湯王は神の子として育てられ、農業の上で大きな功績を残した。新しい国は活気に満ちたのであるが、やがて、殷の紂王の時代になり滅んでしまった。酒が好きで、大の好色の王だったのである。みんな嫌気がさして、周にほろぼされてしまった。
 
  紂王こそ、有名な酒池肉林の創始者であり、淫欲にふけった王だ。裸の男女を森の中に集め、好色の限りを尽くしたらしい。
    「大いに集めて沙丘に楽戯し、酒をもって池となし、肉を県けて(かけて)林となし、男女を裸にして、その間にあい遂わしめ(おわしめ)、長夜の飲をなす。」
 
 そういえば、日本でも武烈天皇という強烈な天皇がいましたな。
 
■ 周の厲王(れいおう)
  殷が滅んで周の時代になった。偉大な始祖、文王は太公望などの有名な部下を得て、周を築いたのだが、何代かして厲王(れいおう)が出て、滅んでしまった。
  厲王は批判者を片っ端から処刑した。宰相がよく民の声を聞かなければだめだと言ったのだが、聞かず、恐怖政治を続けた。人々は恐怖におびえ、しゃべらず、目であいさつする程度になった。厲王(れいおう)は、うまく治安したと大変よろこんだ。
 
  しかし、名宰相、召公は諫める。
 「民の口あるや、土の山川ありて、財用ここに生ずるがごとし」として、田畑が山河にあって富が出るように、民の声があって善政が敷かれていく、それは田畑が富を生むようなものだというのである。 民の口をふさぐのは水をふさぐより難しいと諫めた。家臣の言うことも聞かず、周は結局滅んでしまった。