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№610 豚の裁判

№610 豚の裁判
 歴史上、訳の分からないことが時々起こる。日本でも「お犬様」というのがありましたね。

【豚の裁判】
 
 中世ヨーロッパでは豚が自由を謳歌していた。彼らは放し飼いにされ、都市を走り回り、知事公邸前で集会を開いていた。乱暴な彼らは、しばしば人を傷つけ、子供を殺害し、食べてしまうこともあった。
 
 1457年1月10日、豚が5才の男の子を殺害して食べたという理由で逮捕され、有罪判決を受けた。裁判では母豚とともに6匹の子豚も共犯者として起訴された。この「極悪な殺人」に対しては、母豚は死刑判決を受けた。彼女は「後ろ脚で処刑台用の木から吊されるべし」と判決された。子豚たちは証拠不十分で保釈となった。つまり、母豚の口の周りには血がついていたから殺人に関わったことは明らかなのだが、子豚にはそれがなかったのだ。
 
【ネズミの裁判】
 ネズミの裁判はけっこうおもしろい。
 
 16世紀、フランスオートン地方、ネズミたちが大麦を食い荒らしたと言うことで、起訴された。教区(キリスト教会)の主教職が裁判を執り行い、ネズミに定刻に出頭するよう召還した。執行者が畑までおもむき、出頭命令を出したのである。
 裁判ではシャスネという弁護士がつき、ネズミの裁判が始まった。シャスネはネズミは教区一帯にいるのだか
ら、一匹のネズミに対する召喚状では不十分だと弁護した。ネズミは出頭しなかったが、それは途中に川があったり、残忍な心を持った猫が待ち伏せていたからだと弁護した。
 召喚状の効力を巡って、著名な法学者たちや司祭たちが論争を積み重ねた。
 
 犬、ロバ、牛、モグラ、ネズミ、ハエ、イナゴ、あらゆる動物が裁判にかかっていたらしい。
  さらにおもしろいことに、豚の裁判では豚には人間の服が着せられ、有罪となると裸にされたそうだ。何でも、人間も同じで有罪になって死刑が執行されるときには裸にされるので、それと同じ扱いになるのだそうだ。豚にとって良いんだか悪いんだか分からない。