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№535 意外と多い、社長の押すだけのハンコ

№535 意外と多い、社長の押すだけのハンコ

社長は意外と言われるままに判を押す
社長がちゃんと契約書に目を通しておいてくれればいいのだが通さない。社員は社員で「最後は判を押した社長が責任を持つから」ぐらいに思って、適当にしていることが多い。そうなると、誰も検討しないまま大事な契約書ができあがることは意外と多い。
 
 ふだんは相手も信用できることが多いので、そんなにトラブルになることはない。しかし、厳しい対決をしている相手との取引には要注意だ。特に、利益を得ようと小細工をする体質が会社にしみついている企業があるから油断ならない。こうした小細工をする文化を持つ会社は中堅企業、特に卸し関係の企業によくある。
 
最近も、継続的な取引契約を締結した事例がある
 この事例では、ある法律上の条項に非常に効き目があって、非常に有利な契約を締結することができた。ところが、2年たって、相手から契約の更新を求めてきた。社長は顧問弁護士である私に予め原案を示し、一応OKだった。
 
 ところが、実際に更新契約として相手が提示してきた契約書は相手が最後に示した原案と異なるものだったのだ。契約書には非常に重要な条項があったのだが、長い条文の羅列でその条項を社長は見落とした。社長は相手の会社を信用し、めくら判を押した。はんこを押す前に、完成版を私に見せてくれればこういうことはなかった。
 
普通はこうした詐欺まがいの契約の取り方はしない。
直前の原案通りであることを信頼して作成されるはずだ。
 あいての中堅企業は比較的古い企業で、長年の企業風土の中で少しでもごまかして契約を取る体質が身についている。私も相手企業の姑息な体質を見抜き、はんこを押す前に、はんこを押す文書を見せるよう伝えるべきだった。

この外にも、形ばかりの判のおかげで苦労している会社はある
 ある企業はよく分からないまま契約書にサインをして5000万円を支払いを要求されている。社員も適当に飲み込み、社長に進言し、社長は契約書も読まずサインしたのである。
 社員は最後は社長がサインするのだからというので、責任を社長に放り投げているから、いい加減だ。結局、社員は社長に依存していい加減となり、社長は社員の言うとおり形ばかり判を押す体制があることで、誰も責任を負わない体制になることもある。
 
 法律顧問はちゃんと活用すれば、数千万の被害を防ぐこともできる。
年間60万円程度の顧問料はけっして安くないと思うのだが。

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