№475 エロス、この淫乱な響き
私は学生のころ京都に住んでいて、エロスというと、「京一会館」の日活ロマンポルノのポスターを思い出す。「団地妻、真昼のエロス」なんて感じのどうでもいいような映画がいっぱいあった。でも京一会館ではアバンギャルドな映画や、本当にいい日本映画もやっていて、私たち京都の学生には文化の殿堂だった。
今でもあるかどうか知らないが、「DX東寺」「伏見ミュージック」というストリップ劇場があって、そのえげつなさでは全国一の評判を勝ち取っていた。「花電車」とか、「天狗ショー」とか、1年生には分からない言葉がサーカー部の部室に飛び交っていた。ポスターには「ちり紙、ハンカチをご用意ください」と書いてあった。なんだ、なんだ。
忘れもしない、「DX東寺」のポスターに「ゆれるなまざし」というキャッチコピーがあって友達と大笑いしていた。なんでこれがおかしいかというとだねえ、資生堂に真行寺君枝の有名なアイシャドウキャンペーンがあって、当時、「ゆれるまなざし」が大評判だったのだよ。以来,「ゆれるまなざし」のCMやポスターを見る度に,「なまざし」と読めてしまい,本当に困った。