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№352 中小企業の債務相談

№352 債務の相談
最近、また中小企業の借金に関する相談が増えてきたようだ。
企業の業績はまだ回復していない。売り上げにして25%減で推移しているというところが平均的なところだろうか。70%減とか50%減とかいうのは減っているようだ。

友人の会社ではいくつかの支店を閉店したり、職員を減らしたりしてリストラを進め、収入減にあっても、損益を黒字に持って行きたいという。

去年の荒波を乗り切った企業は、一生懸命努力している。不況が回復すれば、かなり強靱な経営体制のもと、企業発展が期待できるだろう。

そうは言っても、また、さらに収入減となれば、いよいよ追加の借金、最悪の事態といろいろ心配しなければならない状態が続いている。眠れぬ夜は続きそうだ。経営者は大変だが、どんな時でもあきらめることはできない。そういう立場だ。


☆ ポイント1 短期の「入」と「出」はどうなっているだろうか。
どの専門家でもそうだろうが、借金の相談があった場合、私たちは極短期のキャッシュフローの状況を確認する。向こう3ヶ月間の、「入」と「出」がどうなっているかを確認する。その上で経営者から、さらに向こう側の「入」と「出」の見込みを聴取する。

☆ ポイント2 資金ショートはあるだろうか。
次に、債務の総額、内訳を尋ね、月々の支払額を見る。「出」が大きければ資金ショートの危機だ。資金ショートということになれば、当面の支払いの優先順位を決めなければならない。

☆ ポイント3 利益はあるだろうか。
最も重要なのは利益の状況だ。借金は利益の範囲でしか返済できない。月々の債務の返済額や営業利益を検討し、この会社が借金がなければ生き残ることができるかどうかを検討する。

☆ ポイント4 借金は圧縮できるだろうか。
不動産などの資産の状況を検討し、売却などによって債務の圧縮を検討する。条件変更(リスケ)、借り換え、債権放棄など月々の支払いをいかに圧縮するかを考えていく。この段階で、債権者との交渉をどうするか、どのように交渉するかが構想される。

☆ ポイント5 借金は切り捨てることができるだろうか。
借金が大きすぎてどうにもならない場合は、借金を切り捨てることを考える。企業分割、営業譲渡、民事再生、破産と法的手段はほぼ確立している。どれをどのように活用するかが検討課題となる。