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№351 建築紛争

№351 建築紛争
法律の分野でも住宅販売、建築にまつわるトラブルは少なくない。

その大きな理由は、契約関係が曖昧であることと、建築そのものについて、シロウトではなかなか点検できないところがあるからだ。建物については見えない部分もあり、点検できないところもある。

【契約があいまいな場合】
 建物建築の場合、契約書を一応作成する。しかし、建物の細部の設計となると契約書には現れない。大きな建築の場合、建築士が契約に立ち会っていくため設計図書を契約書に添付するために、一応細部にいたるまで契約が確定していく。契約書には設計士も署名に参加することが通常である。
 さらに、建築基準法上の届け出と別の建物を建てる場合がある。その場合は図面が2つできていて、トラブルを生じることがある。

【現場修正の場合】
さらに、建築の場合、現場で修正を加えることがある。世の中設計通りに行くとは限らない。そのため「現場修正」が避けられないことがある。技術がつたなくて前工程がうまくいっていない場合に後工程で修正することもある。

【追加工事】
もっとも、やっかいなのは、追加工事があるなどして当初設計と異なる仕様となる場合だ。一戸建ての場合、建物に対する思い入れが強くて、後からいろいろ注文する施主がいる。その上で、追加費用を請求すると、これは当初契約の範囲で収めるはずだったんじゃないのかと怒り出す場合だ。追加費用は一般の人が思っている以上に高額になることが少なくない。

【何が問題か】
 こうしたトラブルは、施主と業者とのコミュニケーション不足に起因するトラブルだ。
契約当初に何を基準に契約が締結されているかを明確にすることである。契約時に、この図面を基準に契約が締結されていることを説明し、できたら明記することが望ましい。

 建物建築中は、定期的に施主に説明することも必要かもしれない。できるだけ現場に来てもらい、現場で説明することも必要だろう。追加工事があったりして何らかの修正が必要な場合は必ず書面化して合意内容を明確にする必要がある。その際には、追加工事の費用を明示しておくことが望ましい。

 法律の世界ではインフォームドコンセントという言葉ある。これは、説明した上での同意という意味で、これがあって本当の意味での契約になる。それが十分であれば、かなりのトラブルは避けることができる。