名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№303 不正経理,社員の横領

№303 不正経理,社員の横領
 中小零細企業では経理,お金の出し入れを完全に任せきっていることは少なくない。不正経理によって売り上げを操作され,気づいたら損害額が1億円を超えていたなどと言う例も少なくない。

 経理を不正に操作して,預金や売上金をだまし取った場合には当然犯罪になる。架空の外注費など伝票を操作して,預金を引き出せば詐欺罪になる。在庫を勝手に売却していれば背任罪や横領罪となる。

 横領するような人はもともとお金が無くて,女に使った,男に使った,ギャンブルに使ったというような例がほとんどだ。お金がないからそう簡単には取り戻せない。私たちがこうした相談を受けたときには,まず,金額を認めさせることから始める。動かぬ証拠を見つけ出し,本人を呼び出し,会社から持ち出した金の総額を書かせる。ついでに反省文と詫び状も書かせる。そこには,必ず,「返す」という約束文言を入れるようにする。

 このように金額を書かせるのは金額を特定する作業は非常に難しいからだ。本人を呼び出して,一種の契約として賠償契約を締結する訳だ。

 それでも,返さないときには刑事告訴の力を借りることになる。
 こうした犯罪はけっこう厳しくて少しぐらい弁償しても実刑になる。この場合,刑事告訴はかなり大変だ。刑事事件になる場合には金額を確定する必要があるからだ。税理士さんの力も借りることになる。しかし,これまで経理を任せきっていたためにその実数をつかむことは容易ではない。それに,何度も警察に呼び出されて調書を取られる。

 刑事告訴の効果は抜群で,実刑を心配して家族が親族からお金を集めて弁償することは少なくない。1000万円ぐらいの範囲であれば取り戻せる例はまれではない。