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№283 排出権取引に対する米国保守派の動き

№283 排出権取引に対する米国保守派の動き

 現在、米国議会では気候変動法案の審議の真っ最中だ。排出権取引を含んだ総合的なエネルギー政策は下院を通過した。上院では新たな修正が提案される見込みだ。

 米国のビジネス界は伝統的に規制を嫌う。Free market is the best. というのだ。個人は自由に起業でき、自由に活動する。ある者は成功し、ある者は失敗する、それがビジネスというものだという訳だ。この考えからすると、温暖化ガス排出規制はとんでもないということになる。

 米国商業会(U.S. Chamber of Commerce)はこの考えから強硬に反対している。温暖化対策を進める議会関係者の話では、このような強硬派は何を言ってもだめだということらしい。確かに一方は排出権取引を導入したいと考え、他方は必ず阻止したいと考えているのだから合わないに決まっている。むしろ、両者の考えのどちらが多数派になるかといういわゆる力関係の問題になるのだろう。

 日本の経団連は米国商業会とほとんど同じだ。排出権取引に消極的な日本の企業団体、日本の官僚たちは米国に比較して賢いとも言っていた。ドイツの経済界は排出権取引を含めた気候変動政策に新たなビジネスチャンスを作るという立場だが、「うそつき」ということらしい。

 しかし、米国を代表する大企業は排出権取引に賛成している。オバマが進めている景気対策としての気候変動政策はほとんど支持されている。

 何よりも、急速に進んでいる地球温暖化に対して、それすら否定している温暖化対策消極派は、今がよければ後は野となれ山となれという無責任さを感じざる得ない。企業家たる者、社会に貢献することを忘れて発展はあり得ない。