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№267 理想と事業

№267 理想と事業
 日常に忙殺されると時々何のために働いているのだろうと思うことがある。事業者の仲間同士の交流は理想を忘れないためには重要だ。最近は団体に所属することを嫌う人が増えている。自由ではないという。しかし,本当は逆だ。理想を語ることを許す団体こそ,自らの意志を持続させ,本当に自分が自由であるためには必要な存在だ。

 中小企業家同友会はけっして大きな団体ではないし,構成も小規模事業者がかなりの割合を占める。しかし,理想を語ることを許す気風がある。そんな中,いくつかの企業が成長し,すばらしい事業体を作っている。私は自分が自由であるためにこの団体に所属している。

 さて,この中小企業家同友会では「経営フォーラム」という千人規模のセミナーを開催する。私はその中で「地域と事業」をテーマにした分科会を担当して苦慮している。不況下で自分の事業を見直しに入っている企業家も多いことだろう。地域の中で支持され,発展してきた企業は,地域に戻るという原点の必要では無かろうか。

 私は地域の中に市場がある,自らの地域で支持された来たことは他地域でも支持され,事業規模の拡大ができると考えてきた。地域で発展させることができた「農」の文化は都会でも支持される。都会風で精練されたおしゃれな文化と「農」の持つ人間性が融合すれば支持される。そうした企業は今,最も注目されている。

 しかし,地域の中に市場を見いだすというこの発想は足りない。
 自らが関わる地域をどのように変えたいかという思想が必要だ。市場の中にニーズを見いだすとは,隠れたニーズを引き出すのであるが,それは,ニーズを隠している障害物を取り除くという作業ではない。むしろ,地域に対する理想を持つことが,地域に働きかけにつながり,地域のレスポンスとなり,隠れたニーズの発見発展につながる。たくさんの失敗の中で経験するよいレスポンスが隠れたニーズだ。