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№236 大不況,次の教訓は何か。

№236 大不況,次の教訓は何か。
 大不況の生き残り組とそうでない組との差がだんだんと明らかになってきた。その差は企業の体力だと思う。収益の多様化,経理の厳格化,借金の削減・無借金経営,設備投資の妥当性追求,社員との信頼関係の強化,など当たり前のことを厳格に営んできた企業は不況でも強い。

 もちろん,こんな不況であるから生き残るための「運」も大きいだろう。健全経営をいくらやってきても,「運」がないこともある。どうしようもない外部環境が原因ということもあるのだ。

 さて,生き残りが徐々に見えてきた場合,次の課題は「体力」の回復,強化だ。特に,不況下で当面のキャッシュフローを確保するために借金が増えてしまったり,リスケで支払いを先送りにしたりした企業がかなり多いと思うが,こうした企業は「体力」回復,強化は予断を許さないほどの緊急課題だと思う。

 例えば,今年の10月~12月ころにかけてはどうだろうか。リスケの見直しを求められる企業も少なくないだろう。銀行は元本据え置きはもう勘弁してくれと言ってくるかも知れない。あるいは,緊急融資を利用したものの,ふくらんだ借金に真綿で首を絞められるような苦労が始まるかも知れない。

 弁護士の視点から見ると,こうした借金の問題に対する対応が必要になるように思われる。あるいは,企業能力を超えて膨らんだ借金に対して,事業再生の荒療治が必要かも知れない。その場合は民事再生,企業分割,事業譲渡,新会社の設立などこれまで確立してきた事業再生や事業承継の手法を利用することになる。