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№237 弁護士の仕事,税理士の仕事

№237 弁護士の仕事,税理士の仕事
 弁護士が提出する書面というのはけっこう修正がきく。例えば,訴状であるが主張が誤っていたり,何らかのミスがあっても修正すればよいと言うのが頭にある。複雑な訴訟にあっては最初から何でもかんでも分かるわけではない。

 しかし,税務は大変だ。税理士さんの勉強会で出て思ったのであるが,例えば,「申告」というのは租税を確定させる法律的な効果があるもので,ある意味では一発勝負というところがある。もちろん,修正や更正といった手続きがあるが,一旦確定してしまうと後戻りができないという緊張感は弁護士の業務とはかなり違うようだ。

 教科書を調べてみると,納税義務の発生という考えがあり,さらに発生した納税義務は確定手続きによって確定する。国税通則法は「納税義務の確定」をいうために,わざわざ1章設け,申告納税方式を条文で定めている(国税通則法16条)。

 税理士さんとつきあってみて,帳簿の実在感が弁護士とはかなり異なるという印象も受けている。弁護士からしてみると,帳簿というのは権利義務を確定する数ある資料の一つに過ぎない。帳簿上つじつまがあうというのはあくまで帳簿上のことで本当のこととは限らない。

 しかし,税の世界では帳簿の処理によって税の効果や,税額など具体的な発生するせいか,帳簿にどのように記載されているか,どのように記載するか,おおげさに言えばこれによって日々,決まっていくのだから実在感があるのは当然だろう。帳簿上事業主貸しとするかどうかは帳簿操作の問題にすぎないというのが弁護士の発想で,いつでも修正したらいいじゃないのなどと思ってしまうが,税務の世界ではそうはいかないらしい。