名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№216 廃棄物は誰の責任? 拡大生産者責任

№216 廃棄物は誰の責任? 拡大生産者責任
 廃棄物は事業活動に伴って必ず生じるやっかいものである。これをおろそかするとかなり手ひどい目にあう。ある業者が事務所の机の処理に困って,近所のゴミ収集場所に放置した。この業者は廃掃法違反で逮捕され,拘留されることになる。こんな業者だから,2週間も拘留されれば事業は休業状態になり,事業はたちどころに成り立たなくなる。これは,かなりつまらない例だが,例えば病院にとって廃棄物処理はきわめてコストのかかる一方で重い責任が課せられることになる。

 わが国の廃棄物は循環型社会形成推進基本法(循環基本法)と 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)で統制されている。歴史的には廃掃法のが古い。廃掃法ができたのは意外と新しく昭和45年ことだ。もっとも,廃掃法は長らく実行力が疑問視されてきた。しかし,不法投棄やダイオキシンが全国各地で問題となったことをきっかけに平成3年ころから,次から次に改正され平成17年の改正で一応の完成を見ている。

 ゴミは捨てたやつが悪い。不法投棄の問題は最後に捨てたやつは悪い。山に入るとよくタイヤとか,自動車とか,いろいろなゴミが捨てられていることがある。これは悪質業者が処理場に入れるコストを惜しんで捨ててしまった事例だ。これは悪いやつだから廃掃法で逮捕し,処罰すればよい。確かにそうだが,それではなかなかうまくいかない。どうしてかというと,こういう手合いは,悪いと知ってて,それでも金儲けのために捨ててしまう連中だからだ。

 そこで,廃掃法は拡大生産者責任というの考え方を導入した。拡大生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility)とは、生産者が、その生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適切なリユース・リサイクルや処分に一定の責任(物理的又は財政的責任)を負うという考え方をいう。つまり,「拡大」というのは本当は捨てたやつが悪いのだが,責任の範囲を拡大して,捨てることを依頼した者にも責任を認めようと言う考え方である。ゴミを出した者にも責任を課そうという考え方ですね。