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№188 派遣先に対する訴訟

№188 派遣先に対する訴訟

 最近派遣労働者の相談を受けたので何かできないか考えている。労働者側の訴訟であるが,派遣社員の正当な利用方法を考える上では中小企業にとっても重要な問題だ。

① 派遣元と労働者との関係は通常の雇用関係であるため通常の労働法判例が使える。

② 派遣先と派遣労働者の関係はどうだろうか。
 「当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務・・・について・・・3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けている場合」
  このような場合は,別に正規雇用を申し入れる義務の履行を求めればよいと言うことになる。
  あるいは派遣期間制限を超えて就労させるような場合も,労働者は雇用を申し入れることができる。

③ 問題は,期間前に派遣を打ち切るような場合だ。このいわゆる派遣切りの問題については,上記①,②を基本にしながら手だてを考えることになる。
  本来の期間を全うしてれば正規雇用の申し入れとなる場合に,期限前に解約することは許されるだろうか。それがここでの問題である。
  派遣先の派遣打ち切りが違法無効であると言わなければならないし,派遣元の解雇通知が違法無効と言わなければならない。

  さらに,実際には単純に解雇することは少ない。辞表を出さなければ離職票を渡さないという悪質な手口で,実際の解雇を自己都合退職にしているため,問題はやっかいとなる。