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№187 派遣労働の契約関係

№187 派遣労働の契約関係
 派遣労働は労働者,派遣元,派遣先と3面の契約であるため普通にはない複雑さがある。これに労働法制という規制的法規が関係してくるため非常に難しい。

 派遣の形態は原則として禁止されていた。これは口利きやなどが横行した過去の経験があるからだ。そもそも,人の物のように扱う思想自体が問題であるといえる。ともかく,労働者派遣法の成立によって特殊業種について解禁され,さらに近時は製造業など一般的に解禁されるようになった。

 派遣労働の特徴は①派遣というのは事業活動の「一時的」な労働調整のために設けられた制度であること,②派遣労働者は派遣元とは通常の労働契約であるが,派遣先においてもは抽象的な「労働者」という考えでできあがっており,労働者の個別的な個性はないものとして扱われている。

 今回,派遣切りで多くの問題が生じているが,この①一時的,②抽象性が潜脱している点に問題がある。

 正規雇用の申込みについては,よく誤解される例がある
 例えば,特定業務を除いて,遣就業の場所ごとの同一の業務で3年以上派遣労働者を利用することはできない。その場合は正規雇用を申し込まなければならない。これはよく誤解されるが,最初の派遣労働者が2年6ヶ月,さらに次の派遣労働者6ヶ月同一の職場で働いた場合に,次の労働者に対して,正規雇用の申込みをしなければならない。

 また,同一労働者を原則1年以上派遣として使ってはいけない。例外でも3年間である。これは正規雇用の申し入れとは別の問題である。