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№179 ある「欠陥」機械と訴訟

№179 ある「欠陥」機械と訴訟

 事故というのは思わぬ所に起こる。まさか,こんな事故が?
 企業としてはそんなことのために裁判に巻き込まれるのかといやになるだろう。

 例えば機械はどうだろうか。機械によって製品を作る場合には人の力ではできない大きな力を加えることがある。ものを切ったり,熱したり,危険な場面はたくさんある。こうした危険な部分があれば,カバーを付けたり,緊急停止,回付装置を取り付けたり,普通の企業は安全のために最大限の努力をするだろう。

 ある機械には加熱したテコのようなもので製品を熱する工程があった。加熱部分にはカバーが取り付けられていた。緊急時に非常の停止装置もあった。ところが,商品が引っかかっために,その商品を引き出すために従業員が加熱部分に手をつっこむという事故があった。指がテコでプレスされ,事故で社員は指を4本失った。

 商品が投入される以上,開口部の存在は避けられない。強い力でプレスされていることや,加熱されていることは外から見て明らかだ。誰が見ても,手をつっこむなんて!,そんな危ないことをやるなんでおかしいぞ,ということになる。しかし,この社員は会社を相手取って訴訟を提起した。企業に安全配慮責任を欠いたというのだ。指が無くなり,さらに,腕の神経を損傷したので3000万円ぐらいの請求をしてきた。

 さて,表題との関係であるが,訴えられた会社は,実は,機械を納入した業者が悪かったのだとして,さらに裁判は発展したのだ。つまり,そもそもの機械メーカーが製品に対する安全性を欠いた機械を納入したというのだ。責任は自分にはない。危険な機械を作った機械メーカーにあるというのだ。

 普通に経過を書くと,「本当にいいがかりですようねえ」とうことになって,機械メーカーにとってはとんでもないこととういことだろう。