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№178 部品の欠陥

中小企業法務 №178 部品の欠陥

 中小零細業者にあっては様々部品を作り上げる。しかし,小さな部品だからと言って役割は小さいとは限らない。ブレーキなどの人の生命にかかわる部品の場合,小さな部品だからと言って放置できない。例えば,折れるとか,割れるとかいった欠陥があれば取り替えることになるだろう。場合によってはリコールの対象になるかもしれない。

 小さな部品は大量に作られるのだが,けっして単価が大きくない。1個の部品が10円以下ということだってめずらしくはない。しかし,その部品に欠陥があれば自動車全体の欠陥になってしまう。100万個売っても1000万円にしかならない。この場合は自動車2台程度の値段だ。レクサスなら1台だ。

 ひとたび欠陥を出した中小業者は夜も寝られないだろう。リコールということになれば,何億という損害となる。欠陥が原因で自動車事故が起こったらどうなるだろう。そうでなくとも,全ての自動車のメンテナンス費用を請求されればそれだけでも会社はつぶれてしまうかもしれない。

 法律的に言うと,この小さな部品の欠陥について,部品製造メーカーはどこまで責任を負うかということである。直感的には商品の価格からすればリスクは余りにも大きいと感じる。1個10円の部品の欠陥のリスクが1億円であるとしたら割に合わないという感じもあるだろう。しかし,これが医療器具ならどうだろうか。ガーゼの消毒が不十分であるために人が死んでしまったら,ガーゼのメーカーは責任を負うことになるだろう。

 現実には小さな部品は通常は複数の部品と組み合わされて利用される。そのために,人の部品の欠陥ですぐに全体に影響が出るということは少ないということだ。また,明らか欠陥ということも少ない。何か特別な検査をしなければ発見できないようなものである可能性が高い。通常のメンテナンスの範囲で処理されることも多いだろう。欠陥商品を出したことは問題だ。しかし,出したからと言ってすぐに会社がつぶれるほどの問題になるわけではない。当然,顧問弁護士とよく相談して,リスクの大きさを評価することになる。