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№160 「強い者が勝つ」はまちがい

№160 「強い者が勝つ」はまちがい

 強い者が勝って生き残るなど言われる。それは進化の歴史であるから,弱い者は滅んで当たり前という人が時々いる。こんなのは俗流進化論で大いなる誤りである。こうした俗流進化論者はライオンは鹿より強いのでライオンは生き残り,鹿はライオンに食べられる運命にあるという。

 この議論がどれ程ばかばかしいかは,いまだ世の中をライオンが支配していないことからもすぐ分かるだろう。これは今ではぐだらない議論かもしれないが,19世紀にはけっこう通用していた。白人の黒人支配も俗流進化論から堂々と正当化されていたようだ。資本主義は弱肉強食だ,進化論もそういっているというわけだ。もっとも,本当は今でも,多かれ少なかれこんな議論が通ってしまうこともないではない。
 
 しかし,進化の歴史から言えば,環境に適応できた種が生き残るということになる。環境への適応を強さの基準とすれば,「強い者が生き残る」というのは正しいということになるかもしれない。高山の限られた場所に咲く花は弱いというよりは,強いと言うことになるだろう。そもそも,進化の問題に,「強い」「弱い」などという概念はいらないかもしれない。

 ところで,環境への適応というのはどうことだろうか。それは特有の地形,気候,森林の構造に適応するという意味がある。これに加えて,他生物種との連携において優れているという点もある。その連携の妙味は,花とミツバチの関係が有名だ。花はミツバチ無くして受粉できない。ミツバチは花無くして生きていけない。生態学者はこうした生物相互の連携のあり方についていろいろな角度から調べている。こんな楽しい商売はないと思う。私は本当にうらやましい。

 世の中強ければいいってもんじゃあない。社会の適応し,社会の進歩に奉仕しないと生きていけないのだ。中小企業は社会に適応している限り強い。中小企業相互の連携があればあるほど強いのだろう。