名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№161 企業家であること

中小企業法務 №161 企業家であること

 弁護士は事業者の相談相手になって活動する。しかし,時々自分のことを忘れてしまうことがある。「医者の不養生」とはよく言ったもので,依頼者に話していることと,自分のこととはギャップがある。

 「弁護士は」というと他の弁護士には失礼かもしれない。私の場合,自分の経営はどうなんだと忘れてしまうことがある。依頼者にはかなり厳しく経営のコントロールを要求する。とりわけ,昨今のような経営環境が悪いときには荒波を乗り切るためには容赦のないアドバイスが必要だ。

 おかげさまで,当事務所は徐々に拡大し,営業的にも,組織的にも新たな段階を迎えようとしている。営業的には一般的な宣伝方法のノウハウが確立しつつある。あとは少ない資源を効率よく投資して邁進するのみだ。方向は定まった。今後は専門性を生かした顧客ルートをいかに拡大するかが重要だ。どのようなよい商品も知られなければないのと同じだ。

 この「中小企業法務」も実際には高い専門性が要求される。しかし,いかなるノウハウにもまして重要なのは依頼者層である中小事業者と気持ちを一つにできるかである。それは小手先の問題ではない。企業家であることの誇りを大切にし,よくお金を儲け,中小企業を取り巻く理不尽な環境に怒る,こういう事業者の自律的精神を共有することこそが大切だ。好きな人のために働き,それが利益につながればこんなすばらしいことはない。

 事務所の組織については,そろそろ管理職を作り上げる時期になってきたように思う。当事務所は目をつけている事務員が一人いて,3年ほどかけて仲間の信頼がえらる環境を作ってきた。彼女は期待応え,仲間からの尊敬をかちえている。今後は,2年ほどかけて,管理職として事務所をとりまとめるだけの質の高い関係を作り上げていくことが課題だ。
 
 法律事務所では勤務弁護士は一種の管理職のようなものだ。この弁護士教育が実際には大変なのだ。専門職としての高いスキルをまず鍛えなければならないが,それだけでは弁護士はつとまらない。事務員を使い,他の弁護士と共同し事件を処理していく。自分の仕事に対する対価についても顧客にきちんと言えなければならない。無償であれば誰でも感謝する。

 などと考えていると,経営者というのは大変で,いやになってくるときがある。