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№143 不況と戦う中小企業110番

中小企業法務 №143 不況と戦う中小企業110番

 愛知県の中小企業家同友会には弁護士も少なからず参加している。そうした弁護士仲間では,今回のジェットコースターのような不況に対し,何らかの手を打たなければならないという問題意識がある。手始めに中小企業110番とうような無料法律相談を始めてはどうかという構想が進行中である。

 中小企業家同友会の相談である以上,どんな不況下であっても前向きな内容でなければならない。しかし,法律は後始末として機能することが通常だからけっこう難しい。

① 倒産しても事業が生き残ることはありますか?
  最も多いのが債務の整理だ。手形の不渡り,キャッシュのショートなどによる債権の未払いをどうするかということになる。法律的には破産,民事再生,特別清算などの手続きが存在する。こうした手続きによらない任意整理も存在する。仮に破産しても事業自体が生き残っていくことがある。こうした部分は経験無くしては相談はできない。

② 元請けからの単価変更の要求など,無理を言われていますが?
  請負の元請け,商品の購入者,卸し,など単価,数量など当初計画と異なった要求が突きつけられることがある。これは独占禁止法,下請代金法などの活用がある。裁判などすると角が立って今後の取引に響いてしまう。こうした法律を利用しながら交渉を優位に進めていくことが必要だ。もちろん,倒産の危機ということであれば裁判も辞さないことが必要だ。

③ 取引先が倒産寸前で債権回収が難しいのですが?
  これは一刻も早い実力行使,法的手段が必要な場合がある。先取特権を活用する方法もあるだろうし,抵当権や保証人をつけるよう要求することもあるだろう。債権者代位権を利用した元請けへの交渉も可能性がある。財産の仮差押さえなども可能かもしれない。

④ 銀行交渉をどうしたらいいでしょうか。
  これは実は弁護士には難しい。しかし,貸し渋り貸しはがしについて昨今では政府より多くの通達が出されている。こうした通達を整理して銀行と交渉することが必要だ。銀行は政府の言うことはよく聞く。政府機関からの指導を利用することも考えられる。

⑤ 雇用調整をどうしたらいいでしょうか?
  今回の不況は半端ではない。雇用を守りたいというのは中小企業の切なる願いだ。しかし,来年3月には本格的なリストラを断行しなければならないかもしれない。社員の生存にかかわる問題であるから慎重であることは当然のことである。その慎重さの基準と言うが解雇四原則という形で判例に現れている。

⑥ このほかに,政府系融資の紹介もあるだろう。これは,弁護士の領域ではないかもしれない。