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№142  「倒産」しても生き残る? その2

中小企業法務 №142  「倒産」しても生き残る? その2

小企業の場合,「倒産」にあっても法的手続きがとられないことが少なくない。債権者からしばしば苦情が聞かれるのは,「倒産してもあそこの社長はのうのうと生きている。」というものだ。確かに,倒産によって債権回収ができなくなった債権者にとって,破産者は監獄にでも入れてやりたい気持ちだろう。

 しかし,倒産しても人は生きていかなければならない。特に中小企業の社長の場合,年齢もいっており,再就職はきわめて厳しい。長い年月かけて蓄積してきた経験を生かすより他は生きる道はない。

 私は,こうした会社の場合,極力,再度事業ができるよう方法を考えることにしている。債権者には気の毒だが,何をやってもどうせ「倒産」してしまうのだ。どこかであきらめていただく他はない。

 中小企業の場合,とりわけ小企業の場合,商売は人に付いている。つまり,それまでまっとうな商売をしていれば,多くの場合,顧客などの取引先は同情してくれる。仕事が確実にできることさえ示せば仕事はくれる。ここが,重要である。在庫や設備などの必要のない企業の場合(例えば,ソフト関連,あるいは建設関係でも元請けを中心に業務としている場合など),人さえ動けばそれにつれて商売も移動する。会社は倒産しても,それを構成する人が全部動いてしまえば,事業は存続してしまう。この点に再生のチャンスがある。