名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№128 けっして自殺など考えてはいけない。

中小企業法務 №128 けっして自殺など考えてはいけない。

 会社の組織とか,借金とかは実は非常にもろいものだ。中小企業では手形はどうしても落とさなければならない。それを落とせなければ次のキャッシュフローに支障がでるからだ。資金がショートすれば企業はそれで終わりだ。

 手形はともかく,借金は実は強い信頼関係の上にできているため,信頼が崩壊したときの様子は信じられない。つまり,信頼が崩壊したときは,それまであんなに恐ろしくて,日々支払いのために苦労してきたものが,まるで泡のように消えてしまうのだ。

 中小企業者にとって借金は何としても支払わなければならないもので,その支払いの過程で時には生きている実感をかみしめることすらある。それが破綻したときにどんなことが起こるかしれないと思っていると,実は何も起こらず,あんなに恐れていた借金もどこの世界のことか分からないのだ。

 中小起業者にとって借金を支払うという高いモラルは必要だ。社員の生活を守り,家族の生活を守るためにあらゆる手を尽くすことは必要だ。しかし,借金で死ぬことはないことも知る必要がある。所詮はあぶくのようなものであり,いざとなったら腹をくくり,あらゆる泥をかぶってでも生き抜く覚悟も必要なのだ。

 きたないと言われようが,生き抜くことができればそれでよい。そのあとやり直して成功すればみんなよくやったとほめてくれる。決して自殺など考えてはいけない。法律家の役目は危機に立った企業家に対して生き抜くことの難しくないことをしめすところにある。