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№127 行政分野と中小企業

中小企業法務 №127 行政分野と中小企業

 中小企業分野の行政は当然の事ながら中小企業基本法が政策の基準となっている。中小企業基本法を改めて読んでみるとわずか11条で構成されているに過ぎない。もっとも,基本法であるからこんなものだ。

 中小企業の問題は私的経済の問題であるから,行政法規がどのように関係するか難しい問題である。独占禁止法や下請法,景表法なども行政分野の問題である。中小企業政策の基本は信用保証協会,商工会議所など公的な独立機関を設立してコントロールするやり方が多い。

 前述の通り,中小企業基本法は単純な法律だが,関連すると思われる法律は実に多い。我々弁護士であっても,こんな法律がと思うことがある。かつては大規模小売店舗法があったが,廃止され,大規模小売店舗設置法が制定された。この法律の内容を知る弁護士はきわめて少ないだろう。

 小売商業調整特別設置法という法律もあるが,私はそんな法律は知らなかった。これは市場を新たに開業する際には従来の市場との間で一定距離離れていなければならないとするといった,距離制限のある法律だ。

 中小企業受注確保法などという法律は特殊分野であるからやはり知る弁護士は少ないと思われる。この法律は公共工事を通じた中小企業保護をうたっている。公共工事を受注する業者にとって知っておかなければならない法律だし,この法律は行政とのやりとりに利用できるのではなかろうか。

 中小企業は全体としては大きな公共的役割があるが,個々の企業は社会経済的弱者である。弱者の自由が確保され,正当な競争関係に立つためには法によってその地位が強化されることが不可欠である。中小企業の中で行政の果たす役割は大きい。行政機構がうまく機能しない場合は対行政との交渉で,弁護士の出番があると思うのだが,実際にはなんだか出番は少ない気がする。これは,行政に対抗することは中小企業にとって利益になるとは限らないこともある。しかし,われわれの営業努力が足りないというところもあるだろう。