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№27 いろいろあるぞ。環境マネジメント

 今年の環境政策の最大の争点が地球温暖化問題である。北極圏でシロクマが餓死していく姿は本当に痛々しい。我が国においても猛暑や雪の減少,洪水や高潮など目に見える形で気候変動が進行していると実感している人も多いだろう。桜の咲く頃が早まっていたのではないだろうか,蝉の鳴き始めが早くはないだろうか。
 企業家にとって気候変動は大きな社会貢献のチャンスであり,ビジネスチャンスでもある。気候変動は抜き差しならないところまできており,社会は変わらざる得ない。社会が動くときは社会貢献のチャンスであり,ビジネスチャンスでもあるということになる。
 気候変動に対する対応として有名なものにISO14001がある。企業活動の様々な環境側面(CO2を生み出す原因,諸要因)をそれはそれは細かく分析し,全体として減少させていくシステムである。いわゆるPDCA(Plan:計画→Do:実施→Check:点検→Act:改善)サイクルをモデルに組み立てられており,日々問題点を見つけて改善していけば限りなく改善されていくという考え方である。ちなみに,ISOというのは国際標準化機構というもので,JISの世界版である。様々な工業部品,生産ラインの管理など品質管理について様々な基準を取り決めている。ISO14001といのは環境マネジメントという品質の基準を定めている。
 ISO14001認証取得というのはかなり大変な作業なため,これができる企業は社会的な信用も高い。同友会企業の中にもISO14001を取得して顧客の拡大を図ったという企業も少なくないだろう。しかし,手間がかかり,費用もかかる上,限りなく発展するというPDCAサイクルは実は一定のレベルに達すると発展の速度が著しく減少し,発展はするが特定のラインを超えることはないという問題も生じてしまう。社長のやるべき課題が日々山積している企業にとってISO14001が本当に役立つかどうかは一概には言えない。要するに「費用対効果」で考えるとISO14001は中小企業には向いていない。
 そこで,ISO14001の中小企業版のようなものが生み出されている。一つはエコアクション21で,環境省が中小業者のためにISO14001規格をベースとしつつ、中小事業者でも取組みやすい環境経営システムのあり方をガイドラインとして規定したものだ。例えば,電機,ガス,水道,紙などに項目をしぼって,そうした項目についてのみ減少させていくとかいった感じだ。この外にもKESというがある。これはISO14001に取り組んだ経験ある企業人がボランティアに近い形で中小企業向けに環境マネジメントのあり方を示すもので,京都議定書制定の地で生まれた。