名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№24 中小企業の地域力

 中小企業白書はやはりおもしろい。最近は2007年中小企業白書第2部は「地域と共に成長する中小企業」という表題だ。白書は「地域に根付き住民のニーズを知悉した中小企業が発展し,独自性を生かしつつ地域経済を活性化することが重要である」としているが,これは中小企業家同友会の精神ではないか。
 白書では温泉とか地域の知名度、農産品など地域資源を付加価値と結びつけている企業の業績がよいことを統計的に示しているが、さらに進んで地域資源の発掘、再発見の過程も分析している。「他社との差別化を図る上で有効な地域特有の資源が存在していても、有用性に気付かない限り、企業経営に役立てることはできない。」。さらに、産み出された商品がどのようにマーケッティングされていくか、中小企業の連携はどのようになっているかも統計的に明らかにしている。「産地の中には、問屋以外の企業が産地内外の各企業が持つ特色ある技術や製品を組み合わせて、商品の企画を行う動きも見られている。このような動きは、イタリアの繊維産業で特徴的に見られる」とし、愛知県一宮市みづほ興業株式会社の例が紹介されている。
 こうした統計的報告とは別に白書はコラムとして様々な成功例や意欲的なとりくみが具体的に紹介され、中小企業がいかに創造的であるか分かり実におもしろい。もとよりこれらは成功例で背後にはたくさんの失敗例もあるのだろう。中小企業家同友会第29回、第30回総会で「成熟化経済」での中小企業の可能性を指摘し、「同友会理念に基づいて戦略的な経営を行っている企業かどうか」が経営力の差をなって現れるととしてる。地域資源を営業と結びつけ、地域の連携をはかりつつ事業を成功させていったという白書が示した事例は中小企業としての存在価値を自覚した企業が地域力を引き出し、経営力に結びつけた事例と言えるだろう。