名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№7 持続社会(Sastainable Society)における中小企業の役割

 環境問題の分野では持続的発展(Sastainable Development)という言葉がしばしば使われる。環境が破壊されるとはその環境では人が生きていけないという意味だ。環境が守られるということはその環境で人がいつまでも生きていけるということだ。だから,人の社会が持続的に長く維持されるということは環境も維持されることになる。この場合の最小の単位はもちろん個人である。次に小さな単位は地域のコミュニティーである。そして,自治体,国と続く。環境分野での守るべき単位は個人であり,守るべき社会は個人が直接息づく地域社会である。環境分野での民主主義とは個人の安全や幸福であるし,豊かな社会とは地域社会が持続的で美しく,人々が自らのアイデンティティもって愛することができる社会である。
 人の社会であるかぎり「経済」を無視しては成り立たない。持続的で美しい社会も同じだ。環境が保護された社会は地域社会の経済も主体的に維持されている。「持続」とは人々が地域を愛して主体的に地域社会に関わってこそ初めて実現する。例えば,ノーベル賞を受賞したワンガリ・マータイ(Wangari Muta Maathai )さんはグリーンベルト運動を指導した。彼女はコミュニティの自立,自立を促すためにコミュニティの経済を成り立たせるための学校づくりを呼びかけ,小さな事業を呼びかけ,むらの持続性を作るために植林を促した。緑のコミュニティは徐々につながりをつくりグリーンベルトとなってケニアの国を包み込むというのが彼女が実践したことだった。このような地域の自立を求める運動は時には政府とも対決せざる得なかった。
 このような持続社会は我が国でも同じだ。地域社会の経済が成り立ち,相互に協同し,さらにはふるさとや,まちを作っていく。愛情を感じる社会こそ美しい。中小企業は現場の顧客の息づかいを感じ,事業を工夫し生きている。地域あっての中小企業はこうした美しい社会の担い手となる必然性を持っている。