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№2283 在庫

№2283 在庫

 盛和塾という企業家の勉強会で「在庫」がテーマとなった。トヨタでは「在庫」は「罪庫」という言葉があるそうだ。

在庫は空間の最有効利用を妨げる
 在庫は空間を必要とするのでその管理費用の支出につながる。在庫空間がじゃまをして他に必要な活動ができなくなる。在庫の存在は空間の最有効利用を妨げる

在庫は時間の最有効利用を妨げる
 トヨタでは在庫を時間に置き換えて考える。つまり,製品,仕掛り,材料それぞれ在庫を考えるが,商品に関する生産活動が停滞する結果,それが在庫と表現される。在庫の本質は生産・販売活動の停滞にあるという発想だ。在庫=時間の浪費という考えとなり,必要な時に必要なものを,ジャストインタイムという考えに行き着いていく。

時は金なり
 京セラ稲盛和夫氏が塾長を務める誠和塾では事業活動にかかわる価値を単位時間当たりの価値にひき直して,経営向上の指標としている。在庫という時間の浪費によって商品の時間当たりの価値は失われていく。賞味期限が迫ってくれば単位時間の価値は加速度的に消滅していく。トヨタのように在庫=時間の浪費という発想からすれば,在庫が罪庫の意味も現実味を帯びてくる。

しかし,在庫は価値を生み出す
 しかし,そうは言っても在庫は必要なものだ。在庫があればお客さんの要求にいつでも応えられる。機会の損失を防ぐこともできる。

 生産ラインでも前工程から後工程に移る段階で一定の在庫が存在しないと,ラインの停滞につながる。今すぐほしいが,そろえるのに時間がかかる。在庫はそれを補っている。つまり,在庫は時間の余裕を作るため,非常時に備えることができるのだ。在庫は時間を貯金するという機能も持っている。

在庫管理の意味は事業における時空の最適化
 こうなると,在庫はありすぎては当然いけないし,なければ困るという二律背反の存在ということになる。在庫の問題は空間活用と時間活用の2点に分かれる。従って,在庫に対する理念は事業活動における時空の最適化とは何かということが極限まで問われなければならない。

筋肉質の経営とは
 皮下脂肪はありすぎればろくなことはない。しかし,脂肪がなければ人はいざという時のエネルギー源を失う。痩せすぎれば見栄えもわるく,人を引き付けないかもしれない。稲盛氏は在庫を皮下脂肪にたとえ,ほっとけばどんどん膨らむという。皮下脂肪を極限まで削り,本当に必要な分だけに抑える。まさに,これぞ筋肉質な経営ではないか。

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