№1886 中小企業のハッピーリタイア
業績がそこそこ伸びて、事業を社内の後継者に譲るという場合どうしたらよいのだろうか。社長としては事業が存続して欲しいし、一方で退職金もきちんとほしいという時、何に注意したらいいだろうか。
1. 後継者の養成
なんと言っても社内の後継者が決められていなければならない。
人材を養成するのに普通は10年ほどかかる。ある程度の候補者の中から5年から10年かけて徐々に社内の権威を高めていき、社内で「いずれはあの人が後継者になるんだろうな」というような納得を作り上げる必要がある。
そこそこよい会社であれば、外部からハンティングする方法もなる。人材市場は意外と流動性が有り、40代ぐらいで大企業から転職したいという人もけっこういる。管理職養成の専門サイトなどからよい人材を選び出して採用し、何らかの管理職から始めても良い。
あるいは、得意先とかお客さんと接していて、仲良くなった人材に会社に来てもらうという方法がある。いずれにしろ社内のコンセンサスが大切だ。
2. 会社の承継時期の決定
こうして後継者養成にめどをつけつつ、自分の定年の年齢を設定していく。今はだいたい70から75歳ぐらいだろうか。気をつけなければならないのは後継者の年齢だ。元来、40代ぐらいに一気に若返らせるのがよい。その場合、自分の年齢のバランスが大切だ。いつまでも社長でいると後継者が60代になっていることもある。社長が70で引退、次期社長が45歳から50歳というのが理想か?
3. 事業承継スキームの決定
退職金は会社の価値ということになるが、価値算定の方法はいくつかある。会社の借金の処理もある。こうした金額の決定は一般的には税理士さんが分かっている。
その上で、①株式の売買、②退職金、③役員報酬などを通じて利益を社長に還元していく。重要な要素は結局のところ、社長としていくらほしいかということを決定することだ。あとは税金との関係で方法を整理することになる。
4. 後継者の説得
最後の仕上げが後継者の説得となる。これが予想外に骨が折れることがある。というのは借金の問題がある。
親族外後継者はサラリーマンであることが多い。借金と言ってもせいぜい住宅ローンしか知らない。何千万円かの借金は会社としてはあたりまえかもしれないが、サラリーマンとしては天文学的数字に写るかもしれない。また、MBOとかLBOとか言った方法で会社の借入金を利用して株式を購入することもあるが、その借金の返済をいやだと思うかもしれない。
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