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№1838 海外展開の必要性をどのように判断するべきか

№1838 海外展開の必要性をどのように判断するべきか

 グローバリゼーションは日に日に進み、現在では経済圏がどのように形成されるか、特定の経済圏の中でどの国のどの企業がイニシアティブを握るかが大きな関心事になっている。

 私の考えでは特定の経済圏で特定の国、たとえば日本が優位に立つというだけでは、事業という点からすれば、抽象的すぎて意味をなさない。どの国のどの企業が特定の経済圏内でどのような事業について競争上の優位を発揮しているかどうかが重要のように思う。経済圏内で優位に立つとは日本の多くの企業がその経済圏内で競争力を獲得しているということに他ならない。

 現代社会では企業は地球上のいくつかの経済圏を視野に入れて海外対応を進めている。この場合、本拠となる国、日本国内において競争力を獲得することこそが最も重視されるべきだと思う。

 つまり、海外対応することの目的は自国内での競争力を高めることにまず主眼が置かれるべきだと思う。

 海外対応によって、日本国内での競争力を高まり、生産性が向上すれば当然企業は潤い、労働者にも利益は還元される可能性が出てくる。労働者に還元されるかは経営者の姿勢にかかわる部分が多いが、優秀な経営者はより強い競争力を身に着けるために労働者に投資するだろう。

 「生産性の向上」という言葉はマイケル・ポーターの論文でも重視されている。これは資本と労働が生み出す価値が高まるというような意味として使用されている。なんだかマルクス主義のようだが、生産現場が価値を生み出していることは間違いない。この生産性が海外対応によって高まっていく関係が必要だというのが私の考えだ。

 そもそも、特定の経済圏で成功するためには経済圏内での競争優位を獲得する必要があるが、そうした「優位」は国内市場で鍛えられたものだ。自国内での優位性を海外で発揮することで海外展開での成功が約束される。日本国内で身に着けた価値の源泉が、国際的に普遍性を持つなら、国際的にも通用する。その商品力は国内での競争で身に着けたもののはずだ。

 マイケル・ポーターによれば、「優位」には賞味期限がある。不断にイノベーションを生み出さなければやがて「優位」は賞味期限を迎える。このイノベーションは国内で生み出されたものだ。海外対応を持続的に成功させ、さらに発展させようというのであれば、自国内での工夫を続ける必要がある。そのためにも海外対応が自国内での競争を強化するものであるかは問われ続けられなければならない。

 こうした議論は大小問わず企業の海外対応に必要だと思われるが、中小企業に於いてはとりわけ当てはまる。

 つまり、中小企業が海外対応するために必ず考えなければならないことは、「海外対応が日本国内での競争上の優位をもたらすものであるか」「海外対応によって自国内での生産性が高まっていくか。」という点にある。

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