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№1483 自分たちの競争状態をどのように見るか

№1483 自分たちの競争状態をどのように見るか

 ビール各社は糖質ゼロ,プリン体ゼロのビールを一斉に売り出した。サッポロビールが初めてゼロビールを売り出したところ,売上げ好調だったことから他のビール会社が市場に参入してきた。

 ビール業界というものがあるとすれば,それは4つの会社の寡占状態にあって,業界内の競争者の相互の動きはわかりやすい状態にあると言える。ポーター流に言えば,業界内の競争がある一方,業界全体として利益を得るよう動きやすい関係にあるということになる。

 しかし,我々中小企業はそうは行かない。
 ビールだって地ビール間の競争があるが,大企業の寡占状態とは事情は全く異なる。様々な企業が存在し,様々な戦略が存在してお互いのことが分からない状態にある。ある業者は品質で勝負するだろうし,ある業者は価格破壊をねらっているかもしれない。

 地ビール業界というものが存在するとすればそれは相互のライバルの動きが分からない不安定な状態にあることになる。これもポーター流に言えば業界全体の利益の向上やルールの形成には阻害要因となることだろう。業界にとって「地ビール協会」というものを作り上げ業界内の情報交換を進めていくことはきっと有益なことだろう。

 こうしたお互いのことが分からない「不安定な業界」にあっては,業界内の連携はかなり重要なことになる。小さな企業は地域への「集中」戦略を選択し,常に差別化を図らなければならない。小さな市場が全国に散らばっている状況下で我々はどのような連携を図るべきだろうか。

 小さな市場を取り合うライバル達の動きはある程度分かるだろう。このライバル達とはある種の強い緊張関係を持ちつつ接することになる。地域全体のブランド力を高めるためには連携は必須だろう。「ビールどころ名古屋」なんてブランドが通用するかもしれない。

 しかし,市場が競合しない遠いところのライバル達とは別の共同行動,企業連携の課題を追求できるかもしれない。この場合,技術交流,共同ブランド作りなど面白いことが生まれるかも知れない。たとえば,「『隠れたうまい地ビール探す委員会』認定地ビール」とうようなブランドが連携によって生まれるかも知れない。

 こうした市場の競合関係を意識しつつ同業者間の連携のあり方を整理し自らの行動を決めていくことが必要となる。