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№1373 私が理想とする経済人像

№1373 私が理想とする経済人像
 次男なーちゃんは本命は残念な結果となったが,慶応大学経済学部に入学することになった。我が家から関東方面の大学に入学するのは初のことになる。私には3人の子供がいるが,2人は理系で私とは畑が違う。なーちゃんは文系ということで重なり合う。彼が経済学部に入学するということで,あらためて私が考える経済人というものを整理したいと思う。

 なーちゃんには経済は一人一人のためにあることを見失わないで欲しい。
 国益という言葉が横行しているが,それは私たちの社会の一人一人が豊かであることに他ならない。個人の幸福を離れて国家100年の大計などというものはない。それは社会で最も弱い人たちの経済が成り立つとうことだ。彼は将来大企業に勤めるかもしれないし,中小企業に勤めるかもしれない。官僚になるかもしれないし,国際的に活躍するかもしれない。地域に入り,地域貢献に生きていくかもしれない。しかし,どのようなポジションにあっても経済は存在し,その経済は自分や自分の組織に関わる人たちの一人一人の豊かさの上に成り立っている。大きな視点ばかりに目を奪われ,人々の具体的生活に思いをはせることができないようではだめだ。

 なーちゃんには常に世界史の中で自分の立ち位置を理解してほしい。
 グローバリゼーションが進展する中,世界のとりわけアジアの経済は日々大きく変化している。今や,世界経済の動きは瞬時に日本の,さらには私たちの身の回りの経済に直結する。なーちゃんにはあらん限りの想像力を働かせ,世界史の大きな動きを俯瞰して欲しい。
 今の世界経済はどこに向かっていくのか,国境という壁を失いつつあるにもかかわらず,国家の役割はますます大きくなっている。それは国境が国家を守ることがなくなりつつあるからだ。同時に個人の尊厳という世界共通の価値の役割も増している。それは貪欲な巨大な経済が日本も含めて世界の様々なコミュニティを巻きみ,コミュニティの機能を弱めつつあるからだ。
 世界経済の展開が貪欲なものであってはならない。それは凶暴な世界経済の海の中でけっして見失ってはならない羅針盤のようなものだ。それは信念として持たねばならない思想だ。

 なーちゃんには実践的なプロセスを創ることができる人間になってほしい。
 理想や理論で世の中は動かない。世の中が動かないような理想や理論は経済学としてどこまで意味があるか父さんは疑問だ。
 経済が一人一人を豊かにするためにあるというのであれば,そこには必ず人を幸福にするためのメカニズムが必要だ。このメカニズムは決して単純なものではない。「現場」があって,それにあわせた人と人とを関係づけていく作業が必要だ。価値は常に人と人との具体的関係の中で具体化する。この関係を作り上げる作業は常に創造的な才能を必要とする。
 この創造的な才能は天性だけでは生まれない。学問に対する意欲,知識を求めて貪欲に動く意欲,人との出会いへの感動といった若者らしい気概の中で育てられていく。なーちゃんには若者らしく,最高の学園生活を送って欲しいものだ。