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№1228 身元保証契約

№1228 身元保証契約

 最近は少なくなったが人を雇い入れる時に身元保証をとることがある。身元保証というのはいったいどういう意味があるだろうか。

 身元保証には例えばこんな風に記載されている。
「上記の者が職務遂行にあたって、故意もしくは過失により貴社に損害を与えた場合にはその損害を連帯保証いたします。」

 しかし、従業員が例えば横領したような場合、身元保証人が賠償責任を負わなければならないとなると、その金額は莫大になることがあり適当ではない。高校の先生なんかが銀行員になった生徒のために身元保証した時に、その生徒が何億もの資金を悪い男に注ぎ込んでしまったら大変だ。

 そこで、身元保証には「身元の保証に関する法律」というのがある。昭和8年に制定されたこの法律は身元保証契約にいろいろと制限を加えた。例えば、身元保証契約は5年を限度としている(2条)。

 それまでの業務と異なって責任ある業務となったり、任地が代わって保証人では監督できない状態であるときには保証契約を解約できたりする(4条)。

 身元保証契約は関係者と保証人との特別な信頼関係を基礎に締結される契約であるため、身元保証人が亡くなった場合、その保証契約は相続しないとされている(大判S18.9.10)。

 私は身元保証契約というのは一体何のためにあるのかわからない。確かに企業にとっては不良従業員のリスクは減るかも知れないが、企業は自分の責任で従業員を採用し、自分の責任で従業員を育てるべきだ。それを事業に関係ない第三者に保証させるなどと言うのは筋が違う。私はこういう契約形態をそもそも許すべきではないと思っている。

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