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№1207 コーポレート・ベンチャー・キャピタル

№1207 コーポレート・ベンチャー・キャピタル
 コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)とは、スタートアップ企業(ベンチャー企業)に対して投資を行う企業だ。日本でもいくつかある。私の顧問先の会社もCVCの投資対象になって多額の出資を受けた。

 CVCというのは米国ではかなり一般的ではあるが、日本では馴染みが薄い。このCVCについて、専門の投資会社による投資というのが一般的であるが、ある経営学の入門書ではソニーとかトヨタとかいった一般の事業者が行うCVCについて解説してあった。

 事業者がベンチャー企業に投資を行うメリットはいくつかある。新分野は常にリスクを伴う。投資を行うことによってベンチャー・キャピタルにリスクを引き受けてもらうのだ。また、こうした大企業の場合、R&Dに多額の投資を行うのであるが、それに比べればCVCへの投資は金額は大きくとも比率としては小さい。

 しかし、何よりも著者が注目しているのはオープンイノベーションとの関係だ。私も事業者がベンチャー企業に投資するのはオープンイノベーションの考えから言っても興味深いと思う。

 オープンイノベーションというのは、自社内で全ての開発を行わず、ある開発については自社から独立して任せたり、あるいはある開発については社会の企業と連携して開発するという手法だ。つまり、現代社会はめまぐるしく開発が行われていくため、広く多くの研究を吸収しなければ対応できない。オープンイノベーションは知識の外部発注化、あるいは知識を求めた連携という意味合いがある。
 
 つまり、事業者がベンチャー企業に投資を行うのは、ベンチャー企業が持っている創造力を積極的に得ていこうという姿勢になる。ベンチャー企業からすれば、投資と施設など企業資源を利用できるメリットがある。こうした様々な利害が整理され、今後、オープンイノベーションの考えはさらに発達していくことだろう・

 企業連携、起業が新しい「知」を産み、それが「知」をさらに発展させる。世界の誰とでも知の連携が図れる中で新たな創造が生まれるというのはすばらしいことだ