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№1148 定年退職+継続雇用

№1148 定年退職+継続雇用
 弁護士はおよそ法律の問題ならなんでも対応する。しかし、全ての問題に詳しいわけではない。相談があって初めて問題の検討に入ることは少なくない。私の場合、中小企業法務を専門だと言っているが、やはり全部に詳しいわけではない。

 例えば、定年退職と雇用の関係だ。
 昨今、高齢者雇用安定法によって最低60歳定年及び65歳までの継続雇用制度の導入が義務化された。この制度は65歳まで働けるチャンスを作れと言っているだけで、何が何でも65歳まで雇い入れろと言っている訳ではない。チャンスは作ったが、条件が合わなければ再雇用を断る外はない。

 ここまでは簡単な話だ。
 定年60歳、その後は再雇用にして労働条件を変更することができる。パートやアルバイト扱いで雇い入れる、庭の手入れ係にするなど高齢者向きの雇用形態も考えられる。
 再雇用に際して、労働条件で折り合わなければ再雇用しないとすることもできる。

 法律が制度を義務づけている以上、会社としては①定年を延長するか、②60歳定年を維持した上で継続雇用制度を導入するか、③定年制を廃止するかする必要がある。社労士と協議して就業規則の変更も必要だろう。

 60歳定年+継続雇用制度のもと、定年後再雇用を拒否することはできるだろうか。例えば労働条件について労働者側と折り合わなければ再雇用を拒否できる。再雇用だから従前と同じ条件ということではない。掃除など雑用が仕事に入っているような場合、それをやらないということであれば再雇用を拒否できる。

 あるいは、例えば、能力が低く、会社としては早く辞めて欲しかったという例がある場合はどうだろう。継続雇用制度がある以上、本人が希望すれば原則再雇用しなければならない。この問題は解雇の問題とよく似ていて、採用しないことの合理性や採用しないことの相当性などが求められる。

 何が合理的か、何が相当かは千差万別で、例えば、仕事が普通のひとの2分の1しかできないとか、遅刻や欠勤が多いとか、問題社員の部類に入っているような場合は可能性がある。