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№1156 重加算税を争ってみては?

№1156 重加算税を争ってみては?
 重加算税は審判や裁判で争ってみる価値がある。問題だと思われる事例があれば是非ご相談ください。
           関連記事 → http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/37161243.html
               http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/37147430.html

 昨日、税理士さんの勉強会に出席したいが、重加算税が話題になった。聞くところによると税務署というところは重加算税の徴収量にもノルマがあって、足りない時には何かと努力してくるらしい。その分、税務署にも落ち度が出てくる。

 税務申告を怠っていたり、少ない金額を納税したりした場合に過少申告加算税というのが賦課される。これは利息みたいなもので、支払が遅れた時期に応じて余分に支払えと言うものだ。税金未納の場合に悪質だと認定されるとさらに重加算税が賦課される。

 例えば、相続財産について株式の評価がまちがっていたとか、土地価格がまちがっていたとかこのような場合には過少申告になってしまったという場合がある。事業上の申告でも在庫の評価を間違えていたとか、外注費の取り扱いを間違えていたとかいろいろな場合がある。

 昨日、税理士さんの勉強会に出席していたが、この重加算税は「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし」「ていたとき」に課せられる(国税通則法第68条第1項)。その金額もかなり大きいのでハンパではない。

 本来、申告漏れがあった場合には過少申告加算税という利息のようなものが賦課される。それに加えて、さらに思い重加算税が賦課されるのであるから、重加算税は単純な申告漏れよりもさらに特別な場合、悪質な場合でなければならない。つまり、過少申告+αが必要だ。

 この「+α」が「仮装」「隠ぺい」ということになる。うっかり忘れていたというだけでは過少申告加算税だけだ。さらに特別に税務署をだましたというような悪質さが必要だと言うことだ。なにをもって隠したというかについては最高裁は 「その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合」であるとする(最判第二小H7.4.28判決.民集49巻4号1193頁)。

 この「外部からうかがい得る特段の行動」というのはけっこうハードルが高い。審判例や裁判例でも重加算税が取り消される事例はまれではない。

 法律の世界では内心だけでは罰せられたり不利益を課せられたりすることはない。心の問題は全く自由だ。もし、重加算税という不利益が課せられるというのであれば、それが外からみて分かる状態、なんらかの行動があったときだ。だから、最高裁は「外部からうかがい得る特段の行動」の時に重加算税が課せられるとしたのである。