№1091 「国税不服審判も悪くない」時もある。
国税庁などの課税処分に不服がある場合には、異議申立、それに引き続く国税不服審判制度が用意されている(国税通則法75条以下)。国税に関する裁判は、この異議申立、国税不服審判を経た上でなければ提起できない。
異議申立は処分庁にもう一度考え直して欲しいという手続きだ。
税務署長が課した処分に対しては税務署長に異議申し立てする。
やりなおしを求める手続きだから、あまり効果がない。誰だって自分は正しいとおもってやった訳だからもう一度考え直しても同じだ。
国税不服審判手続きは少し違う。
これは国税不服審判所という一応、独立した第三者機関が判断する。これまでいくつかの審判例を見ているが、わりあい判例に忠実のように思う。しかし、裁判例のように新しい判断はほとんどないように思う。新しい問題や、あいまいな問題については保守的な傾向、つまり税務署側の立場に立つ傾向にあるという意見もある。
これは平成22年12月1日裁決事例だが、青色申告が取り消された事件がある。この事件は現金出納帳を備えていなかった不動産業者が、帳簿の不備を理由に青色申告をの取消処分となった。青色申告が取り消され、税務署の調査が入ることになる。
これに対して、業者はこれは違法、不当な処分として審判請求した。業者は現金出納帳は無かったが、それにかわる伝票を備え付けていた。税務署職員が突っ込んで調べれば日々の現金の出納は容易に調べられる状況下にあった。
審判所は、現金出納帳がないのは確かに違法だが、それは軽微な違法に過ぎないから青色申告を取り消すまでもないとした。税務署側が敗訴したのだ。